現地潜入で探す隠れた魅力
この企画案は都心部で暮らす人向けの居住用マンションという設定です。広告をするにあたり制作者は商品は使ってみないとその良さを伝達できません。物件は現地を知らないと魅力は伝えられません。開発者、販売者と違う 第三者の視点はまた違った角度（ユーザー視点） で見れる場合もあります。現地を散策してタウンマップとは違った見方からのアプローチをご紹介します。
ON TIME「都会の利便性」とOFF TIME「やすらぎの緑」という二つの世界感を左右対比させて、その真ん中に物件を配置した作品です。利便性もやすらぎも両方手に入れられるという贅沢なメリットアピールです。物件名【池袋サウスタワー】でわかるように、この物件は昨今ドラマで知名度もあがった東京の池袋という都心ターミナルに位置している設定です。職場へ通うアクセスの便利さやショッピングの楽しさとは別に、居住用としてなら喧噪ばかりでなく、リラックスタイム、静かなやすらぎ時間がないと、いくら若くてアクティブな人でもいずれしんどくなるのではないでしょうか？
先の連想した言葉のように大都会となるとうるさい、交通量が多い、人が多すぎて疲れるといったデメリットも併せ持ちます。実は都心部でも意外と緑地があるという事は知られていません。都会というイメージが先行し、都心部は便利で華やかだけど静かにやすらげないという風に考えがちになるのです。そんな印象のまま、タウンマップや飲食店マップだけをみて広告を手掛けていれば、見逃すスポットも出てきます。実際に歩いてみると、暮らすには心地の良いやすらぎスポット、都会のオアシスも見つけられるのです。グラフィックの紙面 に掲載した場所は、やすらぎスポット側が学習院大学前の閑静な並木通りと鬼子母神境内からの眺め、利便性側スポットは池袋駅（西武デパート）とメトロポリタンプラザを掲載しています。写真トリミングの関係で縦2カット並列となりますが、それぞれグループとして緑と青の色合いで対比させました。また硬軟の質感も対比させています。
特徴をシンプルに研ぎすまし、二つのメッセージを両端から画面 を二分して見せ、ON TIME/OFF TIME2つの魅力の真ん中に立地する物件という構図にして、その両方を24時間365日味わえる事を伝えます。各見出しの下には紹介コピーをいれます。学習院大学（天皇家御用達や血洗い池、また閑静な並木通 りの四季の移ろい）や鬼子母神（天然記念物銀杏やレトロな駄菓子屋、ススキ木菟、唐十郎劇団のテント）などの歴史的な話、反面、国際的施設であるメトロポリタンや池袋駅前の開発、今昔話や年間行事から、有名ブティックやおいしい料理店、楽しい雑貨屋などの実益情報まで、詳しく細かく調べた上で、広告に最適な形でアピールしていきます。
私どもは、伝達者として可能な限りは、広告する商品を実際に見て、味わって、体験して理解するように努めています。マンション物件が商品なら、何回か現地に入ります。当然周辺を歩き回ります。本気で商品の良さを伝えるなら、伝達を担当する者が商品を知らないで伝えるのは厳しいという考えからです。私（渡辺）は広告以外にもファイン系のクリエイティブ作品も発表する機会がありますが、それには経験からも感じた鉄則があります。「自分が感じ、感動もしていない作品を伝えても、人を感動させることは不可能！」ですから私どもは、机上空想理論のライターやレイアウターにならぬよう消費者としての視点を大切にしているのです。
マンション物件の建設時はしっかりと建設地選定前にエリア調査をしますし、一駅手前から歩いて調べることが大事と言われていますが、開発者の人や販売担当者の人は、どうしても各候補予定地を比較する目で見たり地価や生活施設の充実度など、戦略的な視点で見てしまいます。広告の中にもその戦略眼は生きていますが、私どものように第三者の客観的な立場から、現地をカメラを片手に歩いてみますと、クリエイティブという職種柄もあって、思わぬ ところで良い景観を発見したり、下町のおばさんの風土を感じたりと一般の人の散歩に近い感じで見る事ができます。
商品開発者の人が、商品の事をたくさん理解しすぎていて陥る、一般の人には理解が難しい理屈やその説明なども、私どもは素直に「なぜ？」という疑問を投げかける事もあります。商品を外部制作業者の位置から理解しようとする事で消費者の無垢な感覚に近い立場からのアイディア提案や意見の提出をよいパートナーシップとして力添えできると考えております。 良い広告の為に私どもは、外部宣伝部社員のように商品やプロジェクトをしっかりと調べ、理解して表現や企画に落とし込みます。今回のアイディア以外にも様々な業種の激安チラシから高級カタログまで企画提案できる私どもの幅ひろい仕事を是非ご覧ください。
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